UNFCCC SB58:サイドイベント開催報告 (2023年6月9日)
パリ協定6条実施パートナーシップおよび炭素市場インフラの進捗と展望
開催日時
2023年6月9日(金)
主催
日本国環境省、世界銀行、一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
本イベントでは、パリ協定6条の実施を促進する2つのイニシアティブの進捗と展望の紹介、炭素市場に関わるステークホルダーによる取組や課題についての議論が行われた。
開会挨拶では、まず日本国環境省からCOP27で環境省の主導により設立された「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)」およびG7札幌大臣会合での「十全性(質)の高い炭素市場の原則」の採択について紹介され、本イベントが炭素市場に関する包括的な議論に貢献することの期待が述べられた。次に、OECCから6条実施の加速とその課題と支援の必要性について言及され、イニシアティブ多様なステークホルダー間の連携の必要性が指摘された。
セッション1では「パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)」について、3つのワーキンググループ(WG):①承認WG、②報告WG、③トラッキングWGにおける協議内容やA6IPセンターの設置など、質の高い炭素市場構築に向けた活動について紹介された。セッション2では世界銀行による炭素市場のインフラ開発・能力構築のプログラム「Climate Warehouse」および様々な登録簿をつなぐメタデータプラットフォーム「Climate Action Data Trust (CADT)」の進捗と展望が共有された。CADTは、各種の登録簿のデータの閲覧が可能となるデータ・ダッシュボードの公開を2023年7月に予定している。 セッション3ではVerra、チリ環境省、スウェーデンエネルギー庁、日本国環境省、UNDPがパネリストとして登壇し、①パリ協定6条と自主的炭素市場のリンケージ、②炭素市場の十全性を高めるインフラの役割、③炭素市場拡大に必要な制度的措置、④注力すべき能力構築支援、について議論された。議論の中で、各国でのインフラ整備や制度的措置およびそのために必要な能力構築の支援を検討する際には、準備状況や戦略が各国で異なるため、状況把握と戦略的な取組が必要であることが指摘された。
質疑応答セッションでは、測定値ではなく予測に基づく政策レベルでのクレジット創出の可能性、多様な登録簿システムが存在するニーズと活用のあり方、6条実施における法的枠組み整備の重要性、について議論された。
閉会挨拶では、世界銀行より、進行中の複数の取組・イニシアティブ間での調整と協力の必要性、より迅速な実施フェーズへの移行の必要性、について指摘された。
傍聴報告はこちら、イベントの録画はこちらからご覧いただけます。
プログラム アジェンダ
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