I4C 2022ウェビナー傍聴:十全性の高い包摂的な自主的炭素市場への変革(2022年5月25日)
2022年6月2日
「十全性の高い包摂的な自主的炭素市場への変革(Transforming High-Integrity, Inclusive Voluntary Carbon Markets)」
日時:2022年5月25日(水)
主催:Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative: VCMI (共催:Nordic Dialogue on Voluntary Compensating)
本イベントは、企業がカーボンクレジットを使用する際の主張のあり方に係るガイダンスを開発するイニシアティブである「Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative: VCMI」が開催した。自主的炭素市場が新興経済国の低炭素な変革に向けた役割・貢献のあり方を主なテーマとして、カーボンクレジットの供給サイドと需要サイドの双方の視点から議論が行われた。供給サイドとして、ペルー環境省及びブラジルの環境NGOであるClima e Sociedade (iCS)から、主に森林保全によるクレジット創出の観点から、自主的炭素市場への期待と課題について言及された。需要サイドとして、北欧諸国によるクレジット調達を担うNordic Environment Finance Corporation (Nefco)から、クレジット調達の取組や十全性を確保するための要件について紹介された。また、カーボンプロジェクトの開発を手掛けるVNV Advisory Servicesから、国やセクターにより異なる状況を踏まえた自主的炭素市場の役割について意見が紹介された。
主要な論点の一つとして、各国がパリ協定の下で策定するNDCとその実施を踏まえて、自主的炭素市場をどのように位置付けるべきかが議論された。自主的炭素市場は、各国の気候政策を補完したり、NDCの野心を向上させたりする意義が認められる一方、NDCの対象範囲と自主的炭素市場の対象範囲をどこまで区別すべきか、実際の対象範囲の複雑さと区別することの難しさについても指摘された。また、そのような区別に向け、国によるセクター別の計画策定の重要性が指摘される一方、完全な計画の整備を待たずに自主的な取組を進めるべきとの意見があった。
傍聴報告はこちらからご覧いただけます。